お口のトラブルを予防する小児矯正、いつからはじめる?
小児矯正は、子どもの成長に伴い、健康的な歯並びやかみ合わせを形成するだけでなく、将来的な歯列不正や顎の問題を予防するための重要な治療です。早期に適切な装置を使用することで、これらの問題を未然に防ぎ、子どもの口腔健康を長期的に守ることが可能です。
小児矯正がもたらす3つの予防効果
健康的な歯並びを育む:歯列不正の予防
小児矯正は、成長期にその子本来の備わっている成長を正しい方向にコントロールしながら、歯が適切に並ぶように促す治療です。歯列不正が改善されることで、将来的な歯並びの問題を未然に防ぎ、より美しく機能的なお口を育むことが可能です。この時期に適切な矯正治療を行うと、成人後の大掛かりな矯正治療を回避できる場合が多く、結果として歯や顎にかかる負担も軽減されます。
虫歯・歯周病リスクの低減:口腔衛生の向上
歯並びが整うことで、歯磨きがしやすくなり、口腔内を清潔に保つことが容易になります。これにより、歯垢がたまりにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが大幅に低減されます。さらに、矯正治療中は定期的に歯科医院でのチェックが行われるため、早期発見・早期治療が可能になり、口腔内の健康維持にもつながります。
顎の健康を守る:顎関節症の予防
悪いかみ合わせは、顎に過度な負担をかけ、顎関節症の原因となることがあります。小児矯正を行うことで、かみ合わせを改善し、顎の成長バランスを整えることができます。これにより、顎関節症の発症リスクを抑えるだけでなく、顎の正常な発育をサポートし、将来的な顎の変形や関節の問題を予防します。
小児矯正で装置を始める適切な時期について
乳歯が生え揃う時期(3〜6歳頃)
小児矯正の一部は、乳歯が生え揃った時期から始めることができます。この時期は、顎の発育が著しく、骨が柔軟であるため効果的です。例えば、顎の発育に問題がある場合や、かみ合わせが著しく悪い場合は、この段階で治療を開始することが推奨されます。早期に治療を行うことで、顎の正常な発育を促し、将来的な歯列不正のリスクを低減します。
永久歯が生え始める時期(6〜12歳頃)
一般的には、永久歯が生え始める時期が、小児矯正を始める理想的なタイミングとされています。この時期は、乳歯から永久歯への生え変わりが進むため、歯並びやかみ合わせの問題が顕在化しやすくなります。永久歯の生え方に問題がある場合や、スペース不足で歯が重なり合ってしまうケースでは、この時期に治療を開始することで、適切な歯並びを形成しやすくなります。また、顎の成長もまだ進行中であるため、顎の位置や大きさの調整が可能です。
永久歯が生えそろう時期(12歳以降)
12歳以降も、矯正治療を始める一つのタイミングとなります。この時期は、永久歯がほぼ全て生え揃うため、最終的な歯並びやかみ合わせを確定させるための治療が行われます。ただし、治療を開始するタイミングにはそれぞれ適した時期があります。そのため、できるだけ早い段階で問題を発見し、治療の相談をすることが望ましいです。
小児矯正で使用する主な装置の種類と特徴
Vキッズ
Vキッズは、3歳から使用可能な小児睡眠時育脳サポート装置で、口腔内のスペースを広げることを目的としています。就寝時に装着することで、呼吸がしやすくなり、いびきや歯ぎしりが軽減されます。早期の介入により、将来の歯並びや全身の健康に良い影響を与えるとされています。装置は取り外し可能で、子どもや保護者にとっても負担が少なく、続けやすいメリットがあります。
プレオルソ
プレオルソは、取り外し可能なソフトなマウスピース型の装置で、主に混合歯列期に使用されます。この装置は、主に口腔の機能(舌や口まわりの筋肉)を整えることにより歯並びを改善する装置として使用されており、歯列の幅を広げるだけでなく、かみ合わせを整える効果もあります。プレオルソは、使用時間が柔軟に調整できるため、日常生活で使用しやすい点が魅力です。また、装着に痛みが少なく、子どもが矯正治療に抵抗感を持たずに続けやすい点も大きなメリットです。
床矯正装置(しょうきょうせいそうち)
拡大床は、顎の幅を広げるための装置です。床についているネジを調整することで、少しずつ顎の幅を広げていきます。この装置は、顎の発育を促進し、歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保する目的で使われます。比較的シンプルな構造で、取り外し可能なため、子どもが自分で管理しやすい点が特徴です。また、早期に使用することで、抜歯を避けながら適切な歯並びを実現する可能性が高まります。
インビザラインファースト
インビザラインファーストは、透明なマウスピースを用いた矯正装置で、インビザラインシリーズの中でも小児向けに開発されたものです。この装置は、取り外し可能で透明な素材でできているため、装着中も目立たず、子どもが矯正治療を気にせずに過ごせる点が特徴です。また、段階的に新しいマウスピースに交換していくことで、徐々に歯並びを改善していきます。食事や歯磨きの際には取り外せるため、口腔内を清潔に保ちやすい点も保護者にとって安心です。
まとめ
小児矯正は、単に歯並びを改善するだけでなく、予防的な役割を果たし、子どもの長期的な口腔健康を守るための重要な治療です。各装置の特徴を理解し、子どものニーズに適したものを選ぶことで、健康的な歯並びと予防効果を将来にわたって維持することが可能です。
執筆者情報
院長ご挨拶
開業して30年数年、多くの患者さんに関わらせて頂きました。
今後も多くの経験を生かし矯正治療を主に担当する新しい歯科医師と共に地域医療に従事していきたいと考えております。
院長 松本 章良 AKIYOSHI MATSUMOTO
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略歴
- 1985年3月
- 東京歯科大学 卒業
荒川歯科 勤務 - 1985年4月
- 荒川歯科医院 勤務
- 1990年5月
- 松本歯科医院 開院
・日本歯科医師会
・静岡県 歯科医師会
・浜松市 歯科医師会 - 1993年
- 県居小学校医